八丈太鼓はなみずきの奏子です。
最近、現場で見えてきたことがあります。
今の学校教育では、プログラミングや英語が必修になりました。私たちが学生だった頃とは、学ぶ内容も難易度も大きく変わり、子どもたちには高いITリテラシーが求められる時代になった。
そして進学や就職、インターンの場面でも、「何を学んだか」より「自分は何を作ったのか」という目に見える実績が問われるようになってきました。
GitHubに残したコード、制作したWebサイト、運用した動画やSNS、実際のユーザーに使ってもらった仕組み。
こうした「目に見える成果」は、「ITを勉強しました」と伝えるよりも、その人が何を考え、どう動き、何を形にしたのかを具体的に示してくれます。
でも、ここで気づいたんです。
私たちの太鼓の現場は、すでに、その実践の場になっている。
現場で起きているリアルな課題
正直に言います。伝統芸能や地域団体の現場は、デジタル化がかなり遅れています。
連絡方法はバラバラ。SNS、LINE、メール、口伝え。利用層によって全部違う。
その中で、一番確実な連絡方法がメール。なのに、実際にメールが届かないという相談が参加者から来ます。
複数人にお知らせメールを一度に送ろうとすると、メールプロバイダーが「これは迷惑メールかもしれない」と判定して弾いてしまう。だからといって、一通ずつ手で送るわけにもいかない。
Googleアカウントを持っていないスタッフに、どうやって安全に必要な権限を渡すか。
WordPressの権限設定を、ITに詳しくない人でも迷わず使えるようにするには、どうすればいいのか。
こんなことを、実際の現場で一つずつ考えています。
面白いのは、「ITに詳しくない人=高齢者」ではないということ。
年代ではなく、経験や背景によってデジタルへの向き合い方は違う。
だから現場では、単純に「新しいシステムを導入すれば終わり」にはなりません。
「この人は、どこでつまずくのか?」
「どう説明すれば伝わるのか?」
「そもそも、この仕組みは本当に必要なのか?」
そこまで考えて初めて、現場で使えるデジタルの仕組みになる。
学生も、企業も、現場も——全員が一緒に試行錯誤する場
この試行錯誤の過程を、学生たちにも見てほしいんです。
「この仕組みの使い方を覚えましょう」ではなく、「私たちはこういう考え方で現場を整理してます。どう思いますか?」と、思想だけを渡す。
具体的にどうやっているかは、実際に仲間になってくれたときに、現場の中で一緒に知っていくことです。
すると、学生にとっては何が起きるか。
Webサイトの制作・運用だけじゃなくて、GitHubやCloudflareを活用した環境構築。
イベントの集客・広報。動画制作、SNSマーケティング、データ分析。「思ったように反応しなかった」→「では次はどうする?」という改善。
何より、デジタルに慣れている人、慣れていない人との協働。専門用語を使わずに伝える力。相手がどこで困るのかを想像する力。「技術ありきではなく、人が使える仕組み」を考える力。
これらは、企業が求める「現場を理解し、課題を発見し、自分で動けるデジタル人材」の経験になります。
そして企業にとっても、このプロジェクトは価値があります。
地域の伝統文化をデジタル面から支援する。実装レベルで課題に向き合い、解決していく。その過程の中で、新しい人材育成の形、CSRの形が生まれる。
太鼓という身体性のある体験を通して、部署や役職、世代を超えて一緒に取り組む。そこに生まれる、人と人のつながり。
予測できない出会い、そして人と人のつながり
太鼓を一緒に叩くと、不思議なことが起こります。
名刺交換より先に、リズムを通して人となりが伝わる。
企業の人と学生が出会えば、それは新しい採用のきっかけになるかもしれません。学生同士が出会えば、一生の仲間になるかもしれない。
普通のセミナーや就活イベントは、「効率よく情報を得る」ことが目的になりがち。そこには、人としての偶然の出会いが入り込む余地がほとんどありません。
でも、太鼓を一緒に叩き、一緒に汗をかき、一緒に困ったことを解く場には、最初から予定していなかった出会いが自然に生まれます。
それも、この現場が持っている大きな価値だと思っています。
未完成のままシェアする
最後に、ひとつ大事なことがあります。
このプロジェクトは、最初から完璧な計画をつくってスタートするものではありません。
Webサイトも、動画も、運用のやり方も、
「作ってみたら、こっちのほうがいいんじゃない?」
「実際に使ってみたら、ここが分かりにくい」
そんなことが何度も起こります。
でも、私はそこにこそ価値があると思っています。
完成したものを学ぶのではなく、未完成のものを一緒につくりながら学ぶ。
作って、使って、失敗して、フィードバックをもらって、また変える。
その試行錯誤の過程こそが、最高の学びの場になるんじゃないかと。
現場を知る人が課題を伝え、学生が新しい視点や技術を持ち込み、企業が別の経験や知見を持ち寄る。
そして、みんなで現場を少しずつアップデートしていく。
その結果として、学生には「ガクチカ」として語れる実績が残る。企業には、DX人材育成や地域との新しい接点が生まれる。そして地域の文化には、次の世代につながる新しい可能性が生まれる。
完成形は、まだありません。
だからこそ、一緒につくってみませんか?
もし興味のある方がいらっしゃいましたら、ご連絡ください。
一緒に試行錯誤しましょう。


