皆様、こんにちは。八丈太鼓はなみずきの奏子です。
今年度、私たちは「たたいてみよう八丈太鼓」を通して、港区と東京諸島をつなぐ文化の循環に取り組みました。地域の交流事業として、この活動をさらに広げていくために挑戦した一年間の様子を報告します。
一年の歩み:体験から文化へ
最初のきっかけは、6月の初めての完全自主開催でした。ここで「文化」と「体験」を一つにする土台ができたことが、私たちの大きな自信になりました。その勢いは続き、9月には「マイバチづくり」を取り入れたところ、定員の倍以上の応募がありました。
さらに12月には、八丈島とリアルタイムでつなぎ、「防災」や「多文化共生」といったテーマに発展していきました。そして、これまでの経験すべてが形となった1月31日・2月1日の芝浦区民センターでの「たたいてみよう八丈太鼓」は、太鼓名人を招いて開催し、今年度の集大成にふさわしい盛り上がりとなりました。
振り返ってみると、それは単に太鼓を叩くだけの時間ではありませんでした。私たちが目指したのは、参加してくれた一人ひとりが、太鼓の響きの中で「自分自身」と出会い、そして「他者」と繋がる瞬間を作ることでした。
「あわい(間)」が受け入れる多様な響き
なぜ、私たちは「八丈太鼓」にこだわるのか。それは、この太鼓が持つ「あわい(間)」の文化に理由があります。
きっちりと揃えることを大切にする多くの和太鼓とは違い、八丈太鼓は一人ひとりのリズムの違いや「ズレ」さえも、その人の「味」として受け入れる心の広さがあります。音が少しずれても、誰かが速くても遅くても、太鼓は止まらず、場の雰囲気も崩れません。この「あわい」があるからこそ、2歳のお子様から70代の方、外国籍の方、そして障がいをお持ちの方までが、立場の違いを超えて同じ場所でバチを握ることができました。
そこにあったのは、「支援する・される」という一方的な関係ではなく、全員が対等な「プレイヤー」として向き合い、お互いの音を聴き合う豊かな時間でした。昔から海を越えてくる人々を受け入れ、いろいろな文化を混ぜ合わせてきた東京諸島の心が、ここに「誰一人取り残さない居場所」を作り出したのです。
「顔の見える関係」こそが最強の防災
また、今年度の活動を通じて改めて感じたのが、文化活動が持つ「防災」の力です。港区 竹芝・芝浦エリアは、東京諸島への物資や生活を支える大切なライフラインであり、災害の時には島の人たちを守る「後方支援拠点」になる場所です。
でも、仕組みや物だけでは人は守れません。12月に八丈島とリアルタイムでつないだ時、参加者の皆さんは島の様子を身近に感じ、画面の向こうに「友達」を見つけました。普段から太鼓を通じて笑い合い、同じ時間を過ごした「顔の見える関係」こそが、災害の時に都市と島をつなぐ、一番強い心のライフラインになると、私たちは信じています。
循環する熱量:港区から島へ
そして、この活動は新しい段階に入ります。これまでの活動を評価していただき、私たちの後援団体である八丈島文化協会様からお声がけいただき、八丈島で開催される「第9回 八丈島芸能文化祭」への出演が決まりました。
これは単なる遠征ではありません。港区での活動で出会った学生ボランティアや、イベントに参加してくれた仲間たちと一緒に島に行き、都心で育てた太鼓の熱を、本場である島に返す「恩返し」の旅です。「港区と東京諸島がつながり、響きあう」——私たちが思い描いてきた人と文化の循環が、いよいよ形になります。
結びにかえて
港区文化芸術サポート事業を通じて出会ったすべての皆様、そして力を貸してくれたボランティアや関係者の皆様に、心から感謝します。
私たちはこれからも、港区と東京諸島を繋ぐ「あわい」の音色を、人と人のあいだで、静かに、しかし確かに育てていきます。

